「葉」feat.Fukase -2026/2/19

「葉」feat.Fukase -2026/2/19

ー咲クヨウニ。

太宰治の短編集「晩年」より「葉」をもとにした三拍子のロックバラード。

ボカコレ2026冬ex参加作品。

イラスト:そらは様
https://x.com/soraha_nk

原作:太宰治「葉」
https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/2288_33104.html

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歌詞

死のうと思っていた
夏まで生きていようと思った
歩く石塊を受け入れた
自分の自棄が淋しかった

一生涯憂鬱と戦い
そうして死んで行くのだろう
安価な殉情的な事柄に
涕を流した僕がいた

「咲クヨウニ。咲クヨウニ」
哀蚊は
秋の風に残されて
真夜中に蹲る幽霊は
誰かの姿と重なった

お前はきりょうがわるいから、愛嬌だけでもよくなさい。
お前はからだが弱いから、心だけでもよくなさい。
お前は嘘がうまいから、行いだけでもよくなさい。
知っていながらその告白を強いる。
なんといういんけんな刑罰であろう。

「咲クヨウニ。咲クヨウニ」
祈る少女は
萎れた蕾を抱きしめて
凩に絆された屑花は
誰かの慰めを待っていた

「咲クヨウニ。咲クヨウニ」
言の葉よ
いつか泣いてた僕のため
哀蚊も屑花もあまりものも
いつか花を咲かすように

安楽なくらし 絶望の詩
ひしがれたくらし 生のよろこび
散るまで青いふりをした
花になれなかった葉を抱いて

「春ちかきや?」

書き損ねた夢を破りながら
掠れた文字で明日を描く
葉擦れの音を拾い集め
繋ぎ合わせて唄を紡ぐ

「咲クヨウニ。咲クヨウニ」

作品解説

この曲は、太宰治の短編集「晩年」に収録されている「葉」という小説をテーマにしており、
歌詞の大半は小説から引用しています。

小説としての「葉」は、書き溜めた原稿から捨てがたい断片や言葉を繋げた雑文だそうで、
「花になれなかった葉」を寄せ集めて一つにしたような作品
です。
「死のうと思っていた」という書き出しのため暗い小説かと思われがちですが、
希死念慮や惨めさの中にも明日を生きる希望を探すような作品であり、
絶望だけでは終わらないように思いました。

歌詞に繰り返し出てくる「咲クヨウニ。咲クヨウニ」というフレーズは、
小説内で萎れた花を売っていた異邦の少女が最後に呟いた言葉です。
花の状態は悪く、とても咲きそうにありませんが、
それでも「咲くように」と祈る姿は、
「花になれなかった葉」を集めたこの作品に対する祈りでもある
ように感じました。

小説を読み、このような感想を持ちました。
これは僕の曲作りにも通じるところがあり、
小説の言葉を借用しながら僕なりの思いを形にしました。

いつか花開くことを夢見て書いた僕の曲は、葉だったのではないか。

それでも「咲クヨウニ」と祈りながら書いた曲です。